繋がる話(37)

タカシ「身分の高い…はじめての…?」
桜「そうよ、歴代のガーディアンが知ったら驚くでしょうね」

桜は道ある落ち葉を拾うと、ふぅっと息を吹きかけて遠くに飛ばした。

タカシ「桜さん、正直に言いますね。僕ここで働いてたことなんてないんです。あの時は怖かったからとっさに言ってしまったんですけど、ここで労働してたなんて見に覚えは本当にないんです」
桜「そんなこと、知ってたわよ」
タカシ「え…?どういうことですか?」
桜「あのね、後でわかると思うんだけど、ここの人たちはみんな見に覚えがないまま労働者として受け入れて働いているの。なんでだかわかる?」
タカシ「なぜって…何かが裏で動いているからですか?」
桜「噂でしかないんだけどね。私も人づてで聞いたこと。要するに私にだって、知らないことがあるってことよ」

その後は、お互いにこれ以上関与しないようにと、ある程度の距離を保って黙々と甕から水をすくい続けた。

タカシ「すいません。もう水がありません」
桜「そ。今日のところはこんなもんね。しばらく置いておけばまた溜まるわ」

そう言うと、ふたりは段の上にある複数甕を背にして、もと来た道を戻っていく。
背中から聞いたこともない低音のノイズが鳴り響いていた。