繋がる話(57)

ムギ「ここまで勘の良いやつに久々に出会ったわい」

 
ムギは、その場でしゃがみ込み、机の下でバラバラになった光る物体を拾うと、
一つ一つ丁寧に、自分の体全体に染み込ませ始めた。
 
シンジ「ムギさん?何してるんですか…?」
ムギ「お前さんも黙って、俺と同じことをしてみい」
 
ムギはそう言うと、光る物体を頭の先から爪の先まで等間隔に、まるで壊れた細胞を修復するかのように塗りたぐった。
 
シンジ「ムギさん、あなたはここのことをどれくらいご存知なんでしょうか」
ムギ「さぁ、どうしてだい?」
シンジ「だって、こんな奇妙な物体に触るなんて、普通は選択するはずない。しかも、あなたはそれを体に塗りたぐっている。死の危険があるこんなゲームをなぜ続けているんですか?」
 
物体をぬりたぐっていたムギの手が止まる。
 
ムギ「今君は、普通は、といったね?」
シンジ「言いましたけど、それが何か関係あるんでしょうか」
ムギ「まずは、私の一勝だね」
 
ムギはニヤリと笑みをこぼすと、胸からノートらしきものを取り出し、地面に転がっていた細長い石ころでおもむろに何かを書き始めた。
 
◯ シンジくんに、NGワードを言わせた
 
奥の方から、ポンッ、と音がした。