繋がる話(61)
ムギ「やはり、君はおもしろい。」
シンジ「あいつらも同じように今勝負をしているんですよね。なら、僕たちももう少し続けましょう。」
机の上には、古びた茶碗や泥で覆われて茶の色のまな板が無造作に置かれてある。その雑な中に小さめの時計が、まだ止まることなくチクタクと動いている。時計の針は、8を少し過ぎた辺りを指している。
シンジ「では、やりましょっか。」
ムギ「シンジくん、気合を入れたくなるのはわかるけど、まだ君がゲームを回すのは早いよ。」
ムギはせっかちにもゲームを進行しようとするシンジに向かって愛でるように言った。
シンジ「僕はゲームを回そうとはしていませんよ。ただ、勝負に有利になるように、”先に”言葉を発しただけですよ。二回戦目のゲーム、次はあなたの番ですよ」
ムギは出し抜けのシンジの行動に、動揺しないよう素振りを見せてはいたが、唇が震えているのがわかるほどうろたえていた。
ムギ「君は、何もわかっていないよ」
シンジ「確かに、わかっていないかもしれません。ただ、死ぬのと負けることを選ぶのは、僕の性格的に難しいんですよね」
ポケットに手をつっこんで、机の周り観察しつつ、うろつくシンジにムギは恐れたのか声を荒らげた。
ムギ「お前、何を考えている。」
シンジ「ムギさん、ゲーム、進めましょ」