繋がる話(43)

タカシ「チッキメンの食事会に俺らも参加する…だと?!」

タカシはシンジの恐れ多い発言に腰を抜かした。

確かに上層部の中で現状に対して否定的な輩も数人はいるだろう。そいつらを見つけ出して結託をすればここからの抜け道も聞き出せるかもしれない。そのキッカケとして上層部の夕飯に紛れ込むという発想は正しい。だが、そうはいえどチッキメンの食事会は恐らくこの世界で選びぬかれた人たちでしか参加条件は満たないだろう。タカシはシンジの発言をもう少し深く問うた。

タカシ「確かに、手っ取り早く逃げ道を知る手段としてはいいかもしれない。だけど、どうやって紛れ込むつもりだ?お前は見てないのかもしれないけど、チッキメンに近付いた商売人がガーディアンにぶち殺されてたんだぞ?そう簡単に行くとは到底思えないんだが」

タカシは声を震わしながら、まるでお腹を空かせた猛獣の前にいるかのような顔をこっちに向けた。

シンジ「そうだろうな、普通に忍び込んだらそりゃ生きては帰れね−と思うぜ」
タカシ「じゃあ、どうやって…」
シンジ「桜だよ」
タカシ「さ、桜?」
シンジ「あの女を利用するんだ」

シンジは、水をかけても消えそうにないくらい眼をギラつかせながら、まるで人を切るのを楽しんでいる悪党の形相をした。

シンジ「まずは、惚れさすんだ」