りょう
ムギ「お前は、一体…」 ゲームの仕様をすぐさま理解し、その上、ムギを上回ってくるシンジの能力にムギは震えた。 ムギ「君は負けるんだよ。いや、負けなきゃいけないんだ。君は勝ってはいけない」 震える足で自分の身体を支えながら、今にも崩れそうなムギ…
ムギ「やはり、君はおもしろい。」 シンジ「あいつらも同じように今勝負をしているんですよね。なら、僕たちももう少し続けましょう。」 机の上には、古びた茶碗や泥で覆われて茶の色のまな板が無造作に置かれてある。その雑な中に小さめの時計が、まだ止ま…
シンジ「ムギさん。一つ聞いてもいいですか?」 ムギ「ふむ」 よくわからないゲームの展開になり、シンジは戸惑った。しかし、戸惑いながらも現状を攻略しようとするのがシンジの持ち味だった。殴り書きをした紙をクシャッと手で丸めて、手をグーにしてムギ…
ムギ「ここまで勘の良いやつに久々に出会ったわい」 ムギは、その場でしゃがみ込み、机の下でバラバラになった光る物体を拾うと、 一つ一つ丁寧に、自分の体全体に染み込ませ始めた。 シンジ「ムギさん?何してるんですか…?」 ムギ「お前さんも黙って、俺と…
シンジ「ムギさん、俺らは今、何をしてるのでしょうか」シンジは卓上の異様に変色した物体を素手ですこねくり回しながら聞いた。シンジ「ムギさん言いましたよね。君は知恵を使え、って。でも今俺はこの気色の悪い物をただひたすらにクネクネさせてるだけだ…
タカシ「まだ掘るんすかぁ〜?」 洞窟の奥のほうからタカシの弱音を吐く声が聞こえてくる。 最初は勢い良く掘っていたタカシだったが、さすがに体力が続かずバテたというところだろう。 イモ「お前、ひ弱じゃな〜」 タカシ「逆にイモさん底なしの体力っすね…
ボコボコボコ…(ここは…)身体に纏わりついて離れないとても重くて身動きが取れない場所、ここは水の中。大きな地響きとともに大量の水が上から降ってきたとこまでは覚えている。(息が出来ない…そりゃそうだよなここは水んなかだ…)タカシは朦朧とする意識…
ヒューーーボッチャン!! ボコボコボコ・・・グハッ!! タカシは気付いたら水の中にダイブしていた。 溺れまいと必死で手を前に出し、水面に顔を出した。 ゴホッゴホッ!! 水深どのくらいかわからないが相当深いところに落ちたようだ。 タカシ「こ、ここ…
チッキメンは細長いくちばしをパクパクさせながら話し始めた。「あんた、ここがなんで時間がおそうなっとるかわからんやろ。わからんやろうな、ここまでとぼけた顔しとるやつなんか全身毛剃られた野良猫かお前さんくらいだろうからな。ここの時間が遅くなっ…
凄まじい程の異臭がする…。それにしてもここはなんなんだ。シンジがそこにいるということは、鳥人間の腹の中にいるということは間違いないはずだが、何かがおかしい。地面にはカーペットが敷かれていて、その上には赤色のソファーがある。隣には机や本棚、さ…
ゴックン。鶏人間はまるで一匹の小魚を食すかのようにシンジを飲み込んだ。タカシはこの光景をすぐさま理解できず、ただ呆然とその場に立ち尽くしてしまった。タカシ「・・・」鳥人間「ったくよぉ。これだから人間は嫌なんだよなぁ」鳥人間は背負っていたリ…
?「ちみたちが立っていたあの場所にはね〜頻繁に”何かが”飛んでくるんだよぉ〜。ちみは何もみんかったの〜?」何も見なかった、というよりも何もわからなかった。明らかに違っているところはあった。お店でロボットが売られているところなんて、見ていれば…
姿を見せない、声が高いという情報のみの女は、糸電話の先から何かを発している。?「命は〜大事だよぉ〜。見捨ててよい命なんてこの世にはないんだよぉ〜」女神なのか、はたまた死神なのか。それは定かではないが、”悪者”ではなさそうだ。?「お〜い。鶏ぉ…
タカシはシンジに寄り添った。タカシ「おぉい、、シンジぃ、、」シンジはぴくりとも動かない。口元に手を当ててみても吐く息が当たらない。タカシは耐え切れずその場で泣き崩れた。シンジの頬に自分の頬を当て、その冷たい温度を優しく味わった。これがもう…
外へ出た彼らはまず自分の目を疑った。それは当然、入る前の景色とまるっきり違ったからだ。違うというのは語弊がある。似ているのだけど、部分的に異なっているのだ。まず目についたのは目の前のレストランの風貌だ。入る前だと普通のどこにでもあるような…
シンジ「なあ、あの店員おかしくねえか?」タカシ「うむ。ちょっと前にメニュー修正したもんな」二人は顔を見合わせ、目を光らせた。シンジ「もしかしてさ、ここのレストランって…」タカシ「ま、まさかだろ…」そこへさっきの店員が注文したランチを持ってき…
シンジ「お前…被せてくんなよ」 タカシ「被せてきたのはお前だろうが 」 シンジ「お前なんてな、マカロニグラタンで十分なんだよ」 タカシ「俺がマカロニグラタン頼んだらお前もマカロニグラタン頼むだろうが」 シンジ「頼むに決まってんだろうが、当たり前…
会えばいつも喧嘩をするふたり。絵に描いたような馬の合わないふたりはまた例のごとく口喧嘩をしていた。 店員「何かお決まりでしょうか」 不穏な空気感の中、店員が注文を取りにやってきた。 タカシ「お前、何か決めてんの?」 シンジ「席に着いた時からも…
タカシは急に席を立った。 何があったのかと聞いてみると、ドリンクを取りに行くとのことだ。 そう、ここは全国チェーンのレストランである。レストランでありながら、ドリンクバイキングが完備されているので、タカシとシンジはよくここにご飯を食べに来て…
シンジ「つまりどういうことよ?」困惑しきった顔で、タカシに問う。タカシ「だからさ、見かけ倒しで中身が糞なモノを抹消してこうよってことよ。わかる?」タカシは一旦自分の世界に入ると、一人走りをして数分間は周りが見えなくなる癖がある。その時の彼…
タカシ「俺さあ、思ったんだよね」シンジ「何を?」タカシ「お肉って皆が好きな食べ物だと思うんだけど、美味しくないお肉ってたまにあって、食べると吐きそうになる味をしたものってあるわけじゃんか。もちろんそういうお肉があってもいいと思うんだけど、…
「なんだって〜!」 朝陽が上りきった早朝の駅地下で悲鳴に近い声を漏らした。 「教えてくれよぉ〜!」 屈託のない顔を近付けて彼は近寄ってきた。