繋がる話(35)

ずしん。


物凄い鈍い音をしたあと、タカシは床でしばらくもがいた。

ジン「いやぁ、久々の背負投もまだ鈍ってなかったなあ!イイ勢いで投げられてくれたぞ若造!がははは!」
女「あんた、久々って言ってついさっきも土偶を買ってくれって来たおっちゃん投げよったやないかぁ」
ジン「そうやったか?投げたもんなんていちいち覚えてられるかいな!ガハハハ!」
女「そういえばあのおっちゃん倉庫に"保管"しとるけど、どないする?」
ジン「ええよもう処理したれや。空間の邪魔やで」
女「はいよぅ。処理のお代はあとで請求しますからねぇ」
ジン「おうおう。勝手に送りつけとけや!がはははh!」

床でもがきながらタカシは聞き耳をたて、瞬間、背筋がぞわっとした。

(保管…?処理…?どういうことだ…)

ジン「お前らなあ、さっさと自分の持ち場に戻らんかいな?やる気ないのんか?」

ジンは獣を狩るような目つきを俺らに向けた。ここで首を横に降ったら、二度と息が出来ないような気がした。

タカシ「やりますよ!やるに決まってるじゃないですか!そのために戻ってきたんですからね!」

シンジは今だ気絶したままだ。

ジン「おう、若いもん!やる気があるっちゅんはええことやで!そこに横たわってるヤツはどないするんや?」
タカシ「こいつももちろん、やりますよ!今はたまたま目つむってるだけですから」
ジン「そないか。ほんならええ!今日も明日もがむしゃらに働いてくれや!」
タカシ「もちろんっす!」

今はまだ死ねない。こんなところで殺されてはたまったもんじゃない。まだここがどこだか何がなんだかわかっていない状態で、こんなテキトーな関西弁を使う黒光りしたおっさんに今後の自由を奪われまいとして、タカシは最大限のコビを売ってこの場の難を逃れた。

タカシ「ジンさん、すんません。こいつを夢から覚ましたいんで、何か冷たいもんないですかね?」
ジン「おう、ええよ!おい、桜!こいつらに何か冷たいもん渡してやれ」
桜「はいよぉ。あんたら、うちについてきな」

ジンの妻なのか、雇女なのかしらないがこの女の指図に従って奥の方に一緒に同行した。