繋がる話(47)

ぎいいいい。

桜がドアを開いた瞬間、真っ白な煙が部屋から脱出するかのように外へと流れでて、タカシとシンジの顔面にあたり通り抜けた。

「ゴホゴホッ!!」

部屋はまだ白い煙が残っており、壁は全面黄ばんだ色がこびりついていた。

桜「さあ、あんたらの下宿先だよ。とっとと支度しな」
タカシ「し、支度って何の?」
桜「決まってるじゃないの。仕事だよ、仕事」
タカシ「俺らも仕事するんですか!?」
桜「当たり前だよ。何を甘ったれたこと言ってるのさ。ここで生きていくには身を削って働くのさ。ご飯が食べたきゃ自分で取りに行くんだよ。わかったかい?それが出来なきゃ今日の晩御飯は抜きだよ!」
シンジ「おい。タカシ、早く着替えろ」
タカシ「し、しんじ〜〜!」

シンジは素早くベッドの上にある灰色のオーバーオールを身に纏った。よっぽど今日の晩御飯を取り上げられたくなかったんだろう。タカシもシンジの後に続いて仕事着を纏った。

桜「私は外で待ってるからね。準備が整ったら隣の家の人にでも挨拶周りでもいっときな」

がたん。

桜は扉を閉めた。内側からでもガラス越しに桜がどこかへ行くのが見て分かった。

シンジ「お前なんで桜にアピールしなかったんだよ」

シンジはわりと強めの口調でタカシに問いかけた。

タカシ「いつのタイミングでアピールするんだよ!」
シンジ「さっきもいいタイミングあったろ。『ひとりじゃ着れないから着させて下さい』とかいっとけよ」
タカシ「お前・・・馬鹿にしてんのか」
シンジ「それぐらいやれってことよ」

ふたりは痴話喧嘩っぽくじゃれ合いながら、彼らも扉をあけて桜の言う通り隣のうちの前まで行ってドアをノックした。