繋がる話(11)

シンジ「お前…被せてくんなよ

タカシ「被せてきたのはお前だろうが 」
シンジ「お前なんてな、マカロニグラタンで十分なんだよ」
タカシ「俺がマカロニグラタン頼んだらお前もマカロニグラタン頼むだろうが」
シンジ「頼むに決まってんだろうが、当たり前のこと聞くなよ」
 
彼らの関係はとても奇怪であるのだ。
 
隣の席で、女が男にコップいっぱいの水を顔に掛けた。おそらく、男が浮気か何かをして女にばれたところなんだろう。世の中の男女関係というのはとても薄いものである。裏切りや憎しみで、簡単に縁が切れてしまう。その一方で、切れない関係も存在している。
 
切っても切れないものはなんだ、というナゾナゾがあるが、あの答えは蛇口から出る水なのではなく、彼らの関係なのではないかと思うくらいである。
 
「もういい!あんたとは絶縁だわ!」
 
女は走り去っていく。
 
そこへ店員が彼らの席にやってきた。
店員「お客様、申し訳ありません。先ほど注文されたもので確認がございまして…。先ほど注文されたものはベベロンチーノではなく、ペペロンチーノでよろしかったでしょうか。」
 
彼らはお互いの目を見つめ合った。