繋がる話(55)

シンジ「ムギさん、俺らは今、何をしてるのでしょうか」

シンジは卓上の異様に変色した物体を素手ですこねくり回しながら聞いた。

シンジ「ムギさん言いましたよね。君は知恵を使え、って。でも今俺はこの気色の悪い物をただひたすらにクネクネさせてるだけだ。これに何の意味があるというんですか?」

卓上にある物体は下からあがってきたときのその形状ではなく、ムギからの指示によって様々な形となって規則正しく並べられている。シンジはただひたすらにムギからの指示を受け、作業者として務めていた。

ムギ「この作業に特に意味なんてない」
シンジ「じゃあ、なんで…!」
ムギ「それはお前がまだ俺からの指示によって受け側の立場で物をコネってるからだ」
ムギ「お前さんはとても賢い。そして、察しがいい。俺が多少の時間、指示者としてお前さんに“無意味な作業”をやらせていたのも、意図がある。わかるな?」

ムギはそう言うと、奥の部屋から鍵を持ってきた。そして、部屋をある一定のリズムで音を立てながら歩き回った。

トン、トン、トトン。トン、トン、トトン。トン、トン、ト…ガコン!

3回目のリズミカルな音が鳴るのと同時に部屋の片隅から器具らしきものが出てきた。

ムギ「ここからが、お前さんの出番だよ」